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日銀の金融政策

先週金曜日、日銀は追加の金融緩和策を打ち出し、日本株式が急騰、米国株式も急騰、円がドルに対し急落し、今朝は114円台までドル高円安が進行。元株式ファンドマネージャー、現中小企業経営者の観点から感じたことを書きます。出来るだけ平易に書きますが、内容的にどうしても長く、かつ難しくなってしまうので、関心のない方はスキップしてください。

日銀の黒田総裁は金曜日に開かれた金融政策決定会合でさらなる追加緩和策を決めました。しかし、会合には9名の理事が出席して多数決で決定しますが、今回の決定は賛成5名、反対4名と言う金融政策決定会合にしては珍しく僅差の承認となりました。私は、現職の中小企業経営者の立場から反対派の考えに賛同するので、批判的な考えを書きます。

今回の政策は、もっと市場にお金をじゃぶじゃぶ投入して、デフレからインフレ傾向への移行を確かなものにし、金利を低下させて設備投資や不動産購入を促進し、円安をもたらして輸出企業を助けて賃金を上げて国内消費を刺激し、株価を上げてミニバブル的行動を誘発しようとするものです。国の年金の運用するGPIF(昔は私も営業としてGPIFからの資金運用を受託しました)が保有する資産の株式比率を高めるとタイミングを日銀発表に合わせて厚労省が公表し、株高をもたらしました。官邸が主導し、日銀、厚労省が話し合って同日に発表させた気がします。

アベノミクスの特徴は3つ。
1. 前例のない金融緩和策で、金利を低下させて設備投資を増やし、株価を押し上げ、円安をもたらし輸出企業が国内景気を先導し、賃金上昇で消費を活発化させる。
2. 機動的な財政出動(簡単に言えば公共投資)を行い、景気を活性化させる
3. 新しい成長産業を育成する成長戦略

私が反対する理屈は以下の通りです(内需中心の中小企業の経営者の立場で書いているので、異なる立場の人は異なる考えを持ちます。あくまでも、私の個人的な考えです。)
1. 金利が低下して国内の設備投資が活発化するか?私はしないと考えます。むしろ企業は国内の設備投資(建物、設備機械等)を減らしています。大手企業は海外で設備投資をします。国内で増やしません。金利が低下して、住宅建設が増えるか?増えません。地価が上昇し個人が住宅を買いにくくなり、消費税率アップも加わり新規住宅建設は大幅減となっています。富裕層が株高を背景に高級マンションに向かっても、一般庶民が住宅を購入するのは大変になっています。
2. 安倍首相は、株価が上がれば景気も良くなるし、安倍政権の支持率も高くなると勘違いしています。株高の恩恵を享受している層は限られています。
3. 円安で輸出が増えないことは既に、2012年末以降の円安でも明らかです。円安→輸出増加→国内景気回復というのは、10年以上前の考え方で、現在では通用しません。
4. 賃金は、輸出企業や大手企業で賃上げを行っても、非製造業や中小企業には縁のない環境にあります、中小企業はアベノミクスによる景気回復を実感できていません。
5. 機動的な財政出動は、建設資材と人件費の高騰、建設作業者の不足で工事のコストがかなりアップしています。公共投資は採算を気にしないお役人が担当するので増えますが、一般企業の投資が減っています。
6. 具体的な成長戦略が未だに見えません。医療、カジノ、等国全体を押し上げるようなものは見当たりません。各種規制も減りません。
7. 日銀が、政府が発行する国債の全量買取を行うのは、インフレ率が急騰するハイパーインフレをもたらすとして、従来の考え方では中央銀行がやってはいけない禁じ手でした。それに手を出しました。国がいくら借金を増やしても、日銀が国債を購入すれば、財政規律を守ろうという意識が薄くなります。
8. 円安は、原燃料価格を押し上げます。しかし、中小企業では最終製品価格にコストアップ分をなかなか転嫁できず、赤字に転落する企業が続出します。アベノミクスのスタート以来、ドルに対し30円以上の円安が進みました。大手企業は6兆円以上の増益効果、中小企業は4兆円以上の減益。中小企業から大手企業へ利益が移っています。国内労働者の多くは中小企業に従事しています。これでは、賃金が上がらず、景気回復を実感できず、買い控え節約を続けます。
9. インフレには2種類あります。景気が良く需要が強く物価が上がるデマンドプルインフレ(良いインフレ)。景気に関係なくオイルショックで物価が急騰したような原燃料高や通貨安でコストが上昇するコストプッシュインフレ(悪いインフレ)。今の物価上昇は後者です。

日銀は安倍首相にベッタリし過ぎです。安倍首相が黒田総裁を選んだのは、自分の意向に沿った政策を打ってくれるからです。中央銀行が政府の言いなりになったら、金融政策に対する信頼を失います。中央銀行の大事な役目は、自国通貨の価値を守ることで、日銀は逆の行為を一生懸命やっています。この円安で、最近落ち着いてきた原燃料価格がまた上昇すると懸念します。中小企業にとって、この円安はいいことありません。
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| 経済・社会 | 07時31分 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑















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