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2015年08月31日
日経ネットのマネー欄でコラムを執筆されている著者の本を読みました。ネットのコラムの内容が思わずうなずくものが多かったので、本を読んでみました。投資判断を心理学の面から分析した内容で、ファンドマネージャー経験のある私が読んでもうなずく箇所がかなり多くありました。
第1章 誰もが思い込んでいる資産運用7つの勘違い
第2章 投資の基本、ありがちな間違いは?
第3章 年金や保険にもあふれている勘違い
第4章 株式投資に潜む心の罠
第5章 投資信託は知らないことがいっぱい
第6章 マーケットや制度にも罠がある
終章 では、どうすればいいのか?
以前、個人型確定拠出年金の説明をしました。実際に、申し込む人もいるようです。投資を始める前に、この本を読んでおくと「金融機関に騙された」と怒ることは無くなると思います。できれば、もう少し資産運用に関して基礎を解説した本と合わせて読むと、かなりレベルの高い資産運用の初心者になれると思います(実際は、株式投資などで失敗した経験のある人の方が、よりうなずける内容になっています)。この知識を持っていると、金融機関の営業マンがうかつなことは言えないぞと思われる相手になれます。
私が良く使うフレーズと全く同じもの:
金融機関は運用のプロではない、販売のプロである(販売ノルマ達成に必死です)
株式投資は10勝1敗でも損をする(儲けた自慢話は話半分以下で聴く)
儲かる銘柄を教えてくれ(必ず儲かる銘柄が分かれば人に教えません)…
資産運用を始めるにあたって一番大事なことは、自分がどれだけ金融資産を減らしても心が平穏でいられるかどうかを知っておくことだと思います。これをリスク許容度と呼びます。金融資産が1億円あっても100万円損することが嫌な人もいるし、500万円の資産でも100万円損することを厭わない人もいます。そして、そのお金をどの程度の期間運用に回すことが出来るのかを知る。3年後に子供の大学入学用に貯めた200万円を入学までに400万円にしたいというのは避けなければなりません。逆に、確定拠出年金は30年以上に渡る運用が可能なので、時間を味方にすることが出来ます。
よく為替取引や株式投資で1億円儲けましたといった本がありますが、こういう人は1億円損する経験もしています。儲けた人だけが、本を書いたり自慢したりします。損をした人が本を書きません。是非、この本を読んで懸命な投資家を目指して頂きたいと思います。
おまけ
8月上旬は酷暑と雨ゼロ、下旬は雨と冷夏。青果物の生育に大きな影響が出ます。
おまけ
安保法案反対デモ。老若男女のデモ。昔のデモとは違います。自民党は真摯に受け止めるべきです。朝日、毎日、東京新聞はデモを大きく取り上げ、読売、産経、日経は小さく。新聞のスタンスの違いがハッキリしています。
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| 本
| 07時27分
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2015年08月28日
中国景気
中国はGDP成長率7%が新しい標準(ニューノーマル)だと言われますが、実際は7%を下回っているというのが実情のようです。日本のGDPのうち個人消費が6割、米国では7割占めていますが、中国は3割で残りの7割が設備投資や輸出です。個人消費は比較的安定していて大きなブレはないのですが、設備投資や輸出は大きくブレます。中国では富裕層と貧困層の両極端に分かれており、中間層が少ないという欠点を抱えています。自動車や鉄鋼は設備投資のしすぎで工場の稼働率が低下して景気低迷の原因の一つとなっています。不動産のバブル、設備のバブルがあるため、金融緩和などの景気浮揚策の効果は限定的だと思います。
中国株安と人民元高
この二つはアジア各国の景気を悪くする要因となります。台湾、韓国、日本からの中国向け輸出が減ります。中国人観光客も減少します。アジア各国の株価も下がり、個人消費が減少します。アジア各国にとってプラスはありません。韓国を訪れる海外観光客の45%は中国人です(台湾40%、日本20%)。韓国や台湾の経済規模で観光客の減少は響きます。日本での中国人による爆買いも多少影響を受けるかもしれません。
株安の影響
米国人は保有する金融資産に占める株式・投資信託の比率が日本人よりもはるかに高く、株式市場上昇のメリットを享受しやすく、株高が個人消費を伸ばす要因のひとつでした。逆に、日本人の保有率が低いので株高のメリットを感じにくかったわけです(一部の積極的な個人投資家を除きます)。今回の株安は米国の個人消費を冷え込ませる要因となりえます。一方で、原油価格の下落はガソリン代の減少につながり、消費を下支えします。しかし、米国の個人消費がスローダウンすれば、日本の輸出企業にも少なからず影響が出ます。但し、118円台の円高になっても、輸出が減って大手企業の業績が悪化することはないと思います。もちろん為替差益が無くなるので利益は減りますが、景気を大きく悪化させる要因にはならないと思います。
日本への影響
前述の通り、今回の株安で大騒ぎしているのは一部の個人投資家とGPIFといった機関投資家です。GPIFは内外株式の比率を引き上げたので巨額の評価損を抱え込むことになります。安倍首相の唱えるアベノミクスに円安・株高がもたらした効果は見かけ上は大きく(個人レベルでは多くの人が景気回復を実感していません)、成長戦略が未だに見えない中、円高株安が進むことは、安保法制で苦戦する安倍政権の支持率をさらに引き下げる結果となります。中小企業にとっては、今回の株安円高はエネルギー価格の下落となってプラスに働くものの、業績見通しを不透明にさせる要因となります。
| いろいろ
| 07時23分
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2015年08月27日
部下が仕事で失敗をすると、上司が「私はあれほど何回も注意しろと言ったのに、部下が分かっていない」と言い訳する場面が良くあります。
「いくら言っても変わらない」
「本人の問題」と、自分はやるべきことをちゃんとやっているので、自分に責任はなく、全て部下が悪いと、こういう上司や先輩社員は言います。
しかし、いくらしつこく話しても結果がついてこないのであれば、ダメです。何をしたかではなく、結果にこだわることが大事です。これだけやったではなく、結果がどうだったかという事にこだわれば、「もっとできること、やるべきことがあるはず」と何度も深く考えるようになるはずです。すなわち、「ない知恵を絞り出すまでもがいて、結果を出す」ということです。リーダーは部下が努力したから、結果が不十分であったとしても仕方がないと思うのではなく、結果にこだわってもがき続けて欲しい。そうすると、必ず行動が変化してくるはずです。それを見た部下も意識と行動が変わるはずです。
部下が分らないのであれば、わかるように指導して、結果を出させるのが上司の仕事です。
おまけ
下記のようなことが思い当たるようだと、老害に該当する状態だそうです:
•報告したことを「聞いていない」としらばっくれる(本当に忘れている場合もあるかも)
•オッケー出したくせに、「誰だ、こんなこと決めたのは!」と騒ぎ立てる、
•「誰かれがこう言ってた」だのなんだのと他人のせいにして批判する、
•挙げ句の果てに、「オレの言うことが聞けないのか!」と怒鳴りつける、
•「私の時代じゃないのだから、君たちが決めろ」だの、「私はもう先がないんだから、そんな元気はない」だのと、老いを言い訳にして責任逃れする。
亡くなった父親の晩年(80代後半)が当てはまります。もし、こんなことを私が言い出したら、勇気を持って教えてください。決して怒ったりしませんから…。
おまけ
昨日のNY株式市場、ようやく反発しました。これからも日々のこぎりの刃のように上げ下げする相場が続き、落ち着きどころを探る展開になります。
| お仕事
| 07時31分
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2015年08月26日
埋没原価って聞いたことありますか?埋没原価とは、既に発生した費用の事で、将来の意思決定において考慮しない原価を指します。意思決定の際には、将来新たに発生する原価のみを基に判断すべきで、埋没原価については考えないのが良いとされます。代表的な埋没原価は、減価償却費や社員の人件費が該当します。減価償却費は過去の設備投資によって発生する原価で、社員の人件費も過去の採用によって発生する原価です。すなわち、埋没原価は、固定費と変動費(生産・販売量の増減に連動して増減する費用)で分類すると固定費に当たります。限界利益は、売上から材料費、配送費、外注加工費といった変動費を差し引いた額です。
例えば、定価1万円の商品の場合、材料費が6千円(限界利益は4千円となります)、固定費が3千円、利益が1千円と仮定します。千個注文するから8千円に値下げして欲しいという要請がきました。あなたなら、受注しますか?それとも断りますか?生産余力がある前提です。
・原価が9千円の商品を8千円で売ると1千円の損なので受注を断るというのが伝統的原価計算に基づく意思決定。
・限界利益の考え方では、固定費は受注して受注しなくても発生する埋没原価なので、売値8千円から材料費6千円を差し引いた2千円の限界利益を得られるので受注すべきと判断します。
では、この商品を1万円で販売する時に、外注すべきか、内製すべきかを判断する場合(生産余力がある前提)。外注先から8,500円で購入できるので、利益が1,500円と内製化した時よりも500円増えるので、外注したほうが有利に見えます。しかし、限界利益の観点から見ると、固定費は埋没原価なので無視をすると、内製化した場合の原価が6千円の材料費で済むのに対し8,500円の原価となるので、2,500円の損となります。従って、内製化したほうが良いことになります。
しかし、いくつか注意点があります。
1. 自社の生産能力が余っている前提であること
2. 自社で製造できない商品は対象外であること
3. 自社で配達できない遠距離に配送する商品は対象外であること
4. 外注先から直送出来て運賃他の経費を節約できるメリットが大きい場合
埋没原価の身近な事例。1,800円払って映画を見始めたら、10分でつまらない映画と感じました。1,800円払ったので、つまらなくても最後まで見るか、すぐに映画館を出るか?この1,800円は戻らない費用、すなわち埋没原価です。あなたはどうしますか?
もうひとつ。株価1,000円で投資した企業の業績悪化が発表され株価が500円に急落。当分回復の見込みがないが、500円も損するので売却できない。この1,000円も埋没原価です。あなたは損切りして、別の好業績の銘柄に乗り換えますか?1,000円にこだわって、株価が戻るまで待ち続けますか?今回のように、中国ショックで株価が下がったが、業績が全く変化しないとすれば、市場の動揺が落ち着けば割安感で株価は買われて反発する可能性があるので、そのまま保有でもいいでしょう。但し、1,000円にこだわるのは止めましょう。
おまけ
昨日の日経平均は日中上昇に転じましたが、後場に入り急落。昨日は、上海市場が7.6%下げたのに引きずられました。一方、オーストラリア、韓国、香港、台湾、シンガポール等のアジア市場が上昇しました。日本よりも、韓国、台湾の方が中国との貿易比率が高いので上海市場下落の影響を受けて下落してもおかしくないのに…。その後、欧州市場が上昇、NYも上昇しましたが、引けにかけて急落200ドル安。まだ下値が見えません。
| お仕事
| 07時29分
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2015年08月25日
中国初の株安が止まりません。昨日の日経平均は895円安(4.6%安)。ニューヨーク株式市場は月曜日の取引開始直後に1,000ドル以上の下落となり、終値は588ドル安(3.57%安)となりました。為替も一時1ドル=116円台まで円高ドル安となり、今は118円台半ばの取引となっています。シカゴで取引される日経平均先物の終値が17,810円なので、今日の日経平均もいきなり18,000円割れで始まる可能性があります。
原因は中国の株安ですが、その原因は1)中国政府が人民元を切り下げるほど景気が悪く、中国のGDPが7%と言われているが実際は5%程度なのではないかと疑われている事、
2)中国の株式市場は素人の個人投資家が8割を占めており、上がる時下がる時のいずれでも極端に動きやすい、3)上海市場はここ1年ちょっとで2倍半近く上昇し割高感が強まっていた、等が挙げれらます。さらに、9月には米国のFRB(連邦準備制度理事会、日本の日銀に相当)が9月に利上げを行うのではと予想されていたので、資金が新興国から米国に戻るの動きを示し新興国の通貨が売られていました。米国の株式市場もドル高で多国籍企業の利益成長が鈍化しており、割高感が強いと言われていました。そういった状況を同時にひっくり返す動きが出たと言えます。米国市場の割高感は、この急落でかなり解消されました。ドイツの自動車メーカーも中国で稼げなくなるので、これらの株価も下がっています。
世界中の投資家がリスクオフの動き(価格変動率の大きい株式や原油・金等の商品先物市場から資金を引き上げる)を一斉に行い、米国債や日本円といった安全資産と言われるリスクの少ない資産に資金をシフトしました。株式などに資金を戻すリスクオンの動きに回帰するには時間がかかりそうです。
この株安で富裕層や中国人観光客による高額商品購入の動きが鈍化し、デパートなどは影響を受けます。NY原油先物が39ドルを下回ったので、日本が輸入する原油も下がるはずで、円高と相まってエネルギー価格は一層下がるはずです。株式投資を行っていない個人消費者にはメリットもあります。円安・株高がアベノミクスの唯一のメリットだったのが、消えていきます。安倍首相、黒田日銀総裁はどうするのか注目されます。
| 経済・社会
| 07時49分
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